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<癒しと生きがいを求めて>
育て合う人間関係―生活の中のカウンセリング
はじめに
かけがえのない大事な一日一日を、活き活きと生きたい。
家庭や地域や学校や職場での人間関係は気持いいものでありたい。
ところが現実は なかなかそうはいきません。
人間関係 → うまくいかない → 心が荒れる。沈む。暗くなる。
→ 心の病気 → 破局
ちょっとした心がけで避けられる。
(1)接する人ごとに出会いの縁を大切にすること、
(2)相手の心をよく聞くこと、
(3)自分の心の動きにもよく耳を傾けること、
このことを科学的実証と多くの経験にもとづいて教えてくれたのがカール・ロジャーズというカウンセリング心理学者。
「一人の専門カウンセラーを養成するよりも、万人の胸にカウンセリングの心を育てよう」
相手は誰であれ、かかわる場所はどこであれ、人間として人間らしく接しあうにはどうすればいいかということ。
第1章 みんな暖かいふれあいを求めている
− カウンセリングはふれあいの原点 −
1.心が通いにくい時代になってきた
<不安で無気味な時代>
外見上何もないようで、心のうちには悩みや憂い不安を抱いている。
近代化 古い伝統を破壊 孤独になっている 非人間化のプロセス
1960年代 受験競争 中・高校の非行化 学級崩壊
大学紛争
1980年代 高校生の暴力、さらに中学生の暴力
登校拒否 自閉症 → 低年齢化
1990年代以降
中高年 就職難、倒産、失業、老後不安
<荒れる学校>
<もろい家族>
*保母さん、幼稚園の先生は乳児や幼児の身体や心の異常を感じている。
・ プリンしか食べない
・ 箸が使えない
・ 犬食いをする
・ 倒れても手がつけないで顔から落ち怪我をする
・ 手をつくとすぐ骨が折れる
・ 集団遊びに加われない
・ 他の子をたたいてまわる。
・ 感情的な反応を示さずだんまりで通すetc.
→ 子育ての知恵を学ぶチャンスがないままに結婚し、親になってしまう若者が増加
DVー 家庭内暴力
児童虐待
*家の構造
子供部屋 孤独の城 子供部屋の戸は玄関の戸 そこから中は、外の世界。
*夫婦関係
コミュニケーションの欠如 離婚 家庭内別居 DV
*高齢者
手のかかる余分な者 家庭の外へ出そうとする。
<きびしい職場>
日常の業務 ― 販売競争、ノルマ、上役と部下との人間関係、過重な重責
うつ病 生活破綻 自殺
いちおう平穏な生活を送っているが、将来に不安を感じ、何となく生き甲斐が乏しく、心が満たされないのが現実の姿。
2.私は叫んでいるけど、誰も聞いてくれない
<人間の欲求>
(1)生存の欲求
(2)安定の欲求
(3)帰属の欲求
(4)承認の欲求
(5)創造の欲求
(1)生存の欲求
とにかく生きていたいという基本的な生理的欲求
食欲、睡眠欲、性欲
(2)安定の欲求
人間らしく安全な生活、衣食住の生活必需品を確保して、生活を安定させいつまでも生きていたい。
(3)帰属の欲求
何らかの一つの集団に属し愛情の中でいきたい。
家族、地域集団、組織
(4)承認の欲求
自我の欲求。欠けがえのない個性をもった私を認めて欲しい、そして私はあくまでも私として生きたい。
(5)創造の欲求
私独自の人生に重要な意味を見出し、常に新しいものを生みつつけて生きたいという自己実現の欲求。人間としてもっとも深い欲求。
(4)、(5)を別な観点から見てみると、「聴いてほしいという欲求」と言い換えることができる。
@ 聴き手を求める欲求
自分の話を聴いてくれる人を求めている。聴いてくれる人には親しみを感じる。誰かを相手に吐き出してしまえばすっとします。
A 告白したい欲求
その奥には、告白したいという欲求がある。自分の気持を打ち明けたい。
はじめはさしさわりのない話 → 聴いてくれる → つい本当の気持を打ち明けてしまった
B 理解してほしいという欲求
自分の気持を打ち明けるということは、自分の気持を正しく理解してほしいということ。批判されたり、指図されると、「分かってもらえたないな」と感じてしまう。
事柄だけではなく、気持、感情をそのまま受けとめ理解してほしい。
C 成長したいという欲求
気持・感情の理解を通して、隠れていた自分が見えてくる、分かってくる。 → 自己理解が深まるー固定化されて閉じ込められていた自分の殻が破れて、本当の自分が活き活きと動き出す → 成長
閉じ込めれていたみずからの成長力が発動する
人間の深層にあるある心理的欲求は、もちまえの成長力を発揮してのびていくこと。
そのためには、具体的に理解的に傾聴してくれる人とのかかわりによって実現できるといえる。
カウンセリング
言葉のやり取りをしながら人格的な交流を深めていくという関係