カウンセリング理論と実際
・カウンセリングの中で一番難しいのは話を聴くということ
事例
中学生女子 授業中 倒れてしまう 救急車
診断しても悪いところが見つからない
最初は ヒステリー症状と診断された
発作の間隔が短くなった
過呼吸症候群
不安は何か 何も無いと言う 発作は続いている
カウンセリングの開始
何を話したらいいんですか 深刻なものがない
話を真剣に聴いた、すると次第に話をするようになっていった
* こちらの興味で話題を引き出すということはやってはいけない
* 聞くことと聴くことの違い
日常性の中で話を聞くことと、カウンセリングで話を聴くことは本質的に違う
* 話題の自由性
* 守秘義務 安心して話をしてもらう 個人の場合はいいがチームの場合
* カウンセリングルーム 防音、電話、人が入ってこない
閉鎖性と開放性 場合によってはClに緊張感を与えることがある
* 時間 何故か 相手の気持ちを真剣に聞くには一時間が限度。
* 無駄な話を聴く 時間の中で要の言葉は一言 無駄な話を聴くことは相手を認めること、大事にすること。大事にされていることが分かるからClは話し始める。
1年半 発作が治まっていった。
理由が分からないまま終結したが、自己洞察が行われた。
姉との関係。羨望、嫉妬、敵意。皆の注目を引きつける。心の中で追い詰められてどうにかしたいという思い。それが発作という形で起こったと考えられる。
的確な診断をしてこうだからそのような症状になっているということではない。それでは相手の依存心を強めることにつながる。
時間を掛ける。本人が自覚していく。
何をもって異常とするか 個人の心理的な生育史によって作り上げられていった個人的な内的な特徴を捉えること以外判断できない。
内的な問題として正常と異常の質的差はないと考える。心の奥底に重い大きな問題を抱えていたら・・・
共通性がある。あの人と私は違うという態度持った途端に聴くことはできない。
どうしたら聴くことができるか
・純粋性 迷い、緊張がある。それをありのままに自分が知っていること。
変化している。サイコダイナミックス。
純粋に捉えながら相手に関わる
関わるとは、救うとかというのではなく
Clのありのままを捉える。
こうしたカウンセリングの構造がClの中に変化をもたらす
・無条件の積極的関心 相手に対する、無条件に積極的に関心を持つ。
→法座とカウンセリング
具体的な展開
・質問をしない →?
・薬を飲んでいる人にはカウンセリングはしない 深い洞察ができない、どうしても薬に依存する。
・大事にしていることを態度・行動で示していく。
・話題が途切れた場合 沈黙 ごく普通にClと共にいる。
受容がされて共感が起こる そのためには 自己一致が第1の条件
自己一致が起こらないと無条件の積極的な関心は起こらない。
自己一致に応じて無条件の積極的関心が出てくると考えていい。
人間の内面とは
より本質的な領域
周
辺
的
社会的な役割 生徒という役割 性別等々 本質的なものとは違う。
彼女がブスであるということと彼女の本質と関係ない。しかし、彼女はそのことで悩んだ。いい生徒でありたいとあがいた。それができなかった。
本質的な問題と、発作の問題と洞察できた時 彼女は自分の生き様、あり様を自覚できる。
それを考えてもらうために、カウンセリングという形で関わりを持つ。
こういう構造はわれわれの中にもある。
自己理解 自分を理解している程度でしか人を理解できない。 自分のことを考えたくないから人のことを考えるから無理 (反動形成)
発作がどうして起きるのかは全く話してない。
ありのままの自分を見つめることができるようにカウンセリングのプロセスの中でやっていくこと。
まずはカウンセラーの問題 本当の私は何処にいるんでしょうー自己理解
カウンセリング関係は自己理解ができてないと生じないということ。
純粋性・自己一致
自分のことが解らないで、どうして他人のことが解るか。
自分自身の理解 → 人間性心理学の立場
自己理解 生きるとは、瞬間瞬間選択して行動している。
人の独自性と人生の継続性
欠けがえのない自己について考察すること困難であり、孤独なこと
生がある限り、必ず死がある
人はそれに目を向けたくない。人間疎外。
ブーバー 人間はモノか、人間か。
混在している状況
役割 社会的役割は便利、周辺的なものだけで関係している
個人的なパーソナリティとはつながらない
カウンセリングでは、技術という用語を用いるが、これはARTである。テクニックではない。人間観、世界観、宗教観が根底にあり、そこからどうするかということが問われているといっていい。
バイスティックの7つの原則
I. 個別化の原則
*Clを一人の人間として受けとめる
そんなことよくあることよ、あんたなにいってんのよ、あなたより不幸な人一杯いるのよ → 一般化して拒絶している
偏見、先入観で動かされている。どれだけ開放されているか
*人間の行動について十分な知識がない場合
常識で判断している。
人間について幅広い知識が、偏見・先入見を開放する。
*傾聴し観察する能力-
話してないことも聴く、沈黙の中にも意味がある、言葉にならないことを観る。体の動きや様子から。
時には前とのセッションのつながりをつけることもある。「この前最後のところでどんな話しをしたっけな」
問題を押し込めるためにエネルギーを使っていたためにするべきことができない状態。
本人が重要だと思っていないことの中に鍵があることもある。
*Clのテンポにあわせて動く能力
内面のタイミングにあわせて、Clによって違う。
本人が自覚する、気づくことが必須。気づかせることではない。
教育学 最近接領域 このレベルのところまで来ると解ったというところ
Clの歩調で歩く能力、タイミング。常に接していること。
*感受性の問題
感情の中に入ることができるか。
苦労した人の中にも、頑固な人もいる。経験も災いになることもある。
正しいことは適切ではない。バランスが大切。
未成熟と成熟を隔てるものは
不安定 安定 → 我慢できるかできないか
子供 大人 耐性(Tolerance)
耐性がない人はカウンセラーに向いていない。
II. 感情の表出の原則
出来事と感情
強烈な出来事であれば感情も伴う。しかし感情は次第に薄れていく。
カウンセリングでは出来事の話を聴くのではなく、出来事にまつわる感情を聴くこと。
カタリシスが起きるー感情を発散することで冷静に物事を捉えなおすことができる。
出来事と感情を分離してしまう
why その出来事の悔しさ情けなさを引きづるのは辛い
喧嘩をしたということは残っていても、感情は圧し込めてしま
う
失恋したということさえ忘れてしまう。
カウンセリングの効果の8割はカタリシスによるといわれている。
マイナスの感情の発露こそ大事、こんなことを考えちゃいけないとか、
こんな感情は早く忘れたいとか、こんな思いでいる自分は情けないとか。
こういうことを一生懸命聴いてあげる。聴いてもらうことによって、解ってもらうことによって辛さは半減する。
嫌な話を聴く、眠くなるような話を聴く工夫をする必要がある。
先生は、冷水浴をされるという。最長8年の経験がある。
非行少年の話 聴くことは辛い。それができないとカウンセラーにはなれない。
Clが素直に自分の感情を、混乱した感情、マイナスな感情を含めて、出して
頂けるような対応をできるかできないかがカウンセリングの一番重要なところ。
III. 情緒関係の成立の原則
出来事の話をする場ではない。出来事にまつわる感情を聴く関係。
悩みの分類 はじめから根本的な悩みを話すのは余りない
主要な悩み 飛び込みで来たClの始めの主訴は変化する。
根本的な悩み 若い人の特徴、7,8割が恋愛が根本問題
深い関係を作り上げていく必要がある。それを作り上げるのが援助構造。
援助構造
一定に日に、一定の時間に、何処で会うということ。
会ってる人とは電話で話を聴くことはない。
IV. 一人の人間を価値ある存在として関わる
救済することではない。力ある人が、力ない人を救うということではない。
自分と同じ人間として存在している。
共感的な対応をするためにすべて必要、上記4点は有機的関連がある。
共感とは
一気飲みだとか、盆踊り等の連帯感とは違う。
子を亡くされたお母さんの気持ち
他人の世界を、あたかも自分の世界のように理解するとロジャーズは言っている。このあたかもという性格を決して失わない。
共同感情 共感と同情は入組んでおりパッと分けられない。
受容がうまくできない要因
1.Coの内にある問題に無自覚になっていると同情になる。投影。
2.承認との区別ができない。気持ちを受け止めることと行為を認めることとはまったく違う。
事例 盗癖 3ヶ月カウンセリングしても直らない。
いけないと言わなかった。
よくないという事を伝えること
3.過剰同一化
Clに情が移り、我が事のように考えてしまう。変わらないとCoは責任と感じてしまう。
V. 非審判的能力
いいとか悪いとか言わないこと。
VI. Clの自己決定
人間信頼の観方 Clのために自己決定権を脅かしてはいけない。
Clと安易な約束をしない。
援助構造についてはしっかりやる。時間に遅れる、延長はしない。
面接の停止の申し入れ 引き止めない、相手に選択してもらう。
Clとして継続できるかどうか判断する必要はある。
VII. 秘密保持の原則
チーム関係を組んでいる人以外には話さない。
録音「あなたのお話を私がどれだけ理解できているか確かめるため」
家族のカウンセリング 親子を同時にやっている場合特に気をつける。
シュレッダーもずべて自分で掛ける。
『ケースワークの原則』誠心書房
ケースワークとはClを取り巻いている社会環境を含めて、Clの生き易い方法を社会資源を利用しながら援助していくという立場。
面接
インテイク面接 継続面接
すべて情報をそろえる
生育歴、現況等
面 接
私たちの場合は、インテイクと継続が同時になっている。
セッションの中では受容し、終了した時点で質問してもいい。
RKK
内面的な問題に対応する人
現実的な問題解決をする人 分けて分担する。
クラスをどうまとめるか
集団としてまとまっても、個人個人が満足して、お互いが通じ合ったなといってまとまる事が大事。コーラスをおいて他に無いと思った。
声を使う、声は呼吸を使う。呼吸は意識と無意識の中間にある。
声は意識に密接に関係ある。健康状態をよく現している。
一人一人が充分に能力を発揮して、周囲を支えて全体がまとまる。
専任カウンセラーと市のコーラスグループの指導
問題のある子 自分を表現できる子
事項表現ができない
本来は変わらなかったはず。なぜ違いが出来てしまったのか。
合唱とは人生を一瞬のうちに経験する作業である。
開始があり、終結がある。
カウンセリングも同様。人生を凝縮した形。
ハーモニー 調和
メロディ 節
リズム 心臓のリズム 生命の根源にある 感動させるもの
歌は訴えるものがある。日常では、語るという事も、騙るという事もある。
歌にはそうしたものが無い。健康になる。
雪の日に 組曲 心の四季 作詞 よしのひろし 作曲 たけださぶろう
雪が激しく降り続ける 雪の白さをこらえながら 欺きやすい雪の白さ
誰もが信じる雪の白さ 信じられている雪は切ない どこに純白な心などあろう 何処に汚れぬ雪などあろう 雪が激しく降り続ける うわべの白さで輝きながら うわべの白さを堪えながら 雪は汚れるものとして いつまでも白い
ものとして 空の高みに生まれたのだ その悲しみをどう降らそう 雪はひとたび降り始めると あとからあとから降り続く 雪の汚れを隠すため 純白の花びらのように重ねていって あとからあとから重ねていって 雪の汚れを隠すのだ 雪が激しく降り続ける 雪はおのれをどうしたら欺かないで生きられるだろう それがもはや自らの手に負えなくなってしまったかのように 雪は激しく降り続ける 雪の上に雪が その上から雪が 耐えようのない重さで音もなく重なってゆく 重ねられていく 重なっていく 重ねられていく
雨 詩 八木重吉
雨の音が聞こえる 雨が降っていたのだ あの音のように そっと世のために働いていよう 雨が上がるように 静かに死んで行こう
カウンセリングの終結も、人生の終結もこうありたいもの。
感想
元気を出してカウンセラーの仕事を全うして頂きたいと最後の言葉として述べられた。今の私にとって本当に必要な言葉である。心身のリズムが変調をきたしている
昨日も第4回目の面接を行なった。自信がない。これでいいのかという猜疑心が湧いてくる。来談者中心で聴くこと、Clは自分が抱えている問題を解決したいという思いで来られている。悠長な感じで耐えられないのではないか。
内面的な問題の解決と、現実的な問題の解決、Clは両者を望んでいる。7つの原則は、前者に関わるものと思われる。それさえ難しい事であるが、Clと直面していて感じるのは、後者の問題も解決したいという事である。
探求していかなくてはならない。